報道発表資料

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2000年07月31日

国家ハロンマネジメント戦略について

 1998年11月に開催されたモントリオール議定書第10回締約国会合において、先進国は2000年7月末までに、ハロンの排出削減及び使用の全廃を含む「国家ハロンマネジメント戦略」を策定し、UNEP(国連環境計画)のオゾン事務局に提出することが決定された。このため、消防庁等の関係8省庁と検討を行い、この度、我が国における「国家ハロンマネジメント戦略」を取りまとめ、UNEPのオゾン事務局に提出した。その概要は、以下のとおり。
 
(1) 我が国における取組の現状
  我が国では、消火設備・機器等の消火剤として、2000年1月現在、約19,000トンのハロンが、防火対象物、危険物施設、船舶、航空機等に設置されている。
1994年以降、ハロンの生産等が全廃されたことを踏まえ、ハロンバンク推進協議会(1993年設立)を中心としてハロンの適正な管理、回収・再利用、リサイクルハロンの活用による必要量の供給が、関係者の自主的な取組のもとに行われている。
(2) 戦略の基本方針
  引き続きハロンバンク推進協議会を中心として、適正なハロンの管理の推進を図るとともに施工、維持管理、回収等に伴うハロンの不用意な放出を防止する。
ハロン消火設備・機器の新設は、防火安全上必要な用途について認める。
既存のハロン消火設備・機器が廃止・撤去される場合には、ハロンを的確に回収するとともに、防火安全及びハロン排出抑制の観点から、再利用することが必要な回収ハロンは、品質を確認のうえ、供給用として管理する。
不要、余剰となったハロンは、無害化(破壊)のうえ廃棄する。この場合において、技術的・制度的観点から、有効な回収・破壊技術の確立について整備を図る。
環境保護、実用性の観点からハロン代替に向けた有効な取組を促進する。
1. 背景
   1998年11月に開催されたモントリオール議定書第10回締約国会合において、先進国は2000年7月末までに、ハロンの排出削減及び使用の全廃を含む「国家ハロンマネジメント戦略」を策定し、UNEP(国連環境計画)のオゾン事務局に提出することが決定された。このため、関係8省庁(防衛庁、環境庁、外務省、水産庁、通商産業省、運輸省、消防庁、警察庁)と検討を行い、この度、我が国における「国家ハロンマネジメント戦略」を取りまとめた。その概要は、以下のとおりである。
 
2. 国家ハロンマネジメント戦略の概要
 
(1) 我が国における取組の現状
 
[1]  ハロンは、高絶縁性、低毒性、高浸透性、低汚損性等の利点を有する消火剤で、コンピュータ室、通信機器室、駐車場等の防火対象物や、危険物施設、船舶や航空機等の移動体の消火設備・機器等に使用されている。
我が国におけるハロン量(2000年1月1日現在)
  設置対象
防火対象物等 移動体
ハロン種別 ハロン1211 69 2 71
ハロン2402 377 1 378
ハロン1301 16,908 1,417 18,325
17,354 1,420 18,774

(単位:t)   

  [2]  1990年6月の第2回モントリオール議定書締約国会合の決議を踏まえ、国内法(特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律)により、1992年1月1日から、特定ハロン(ハロン1211、ハロン1301及びハロン2402)の製造等の規制が実施されている。
 
[3]  1991年には、主として防火対象物、危険物施設等に設置されているハロン消火設備・機器等について、その設置場所、使用量等に係る調査が消防庁により実施され、データベースが構築されている。
また、1992年1月1日以降、新たに設置するハロン消火設備・機器等については、防火安全上の必要性の観点を踏まえつつ、その使用抑制の取組が実施されている。
船舶においては、1994年10月1日以降の新造船へのハロン系消火設備・機器の設置を禁止した。
 
[4]  1992年11月の第4回モントリオール議定書締約国会合の決議を踏まえ、ハロンの回収、リサイクル及び再生を的確に実施し、大気中へハロンをみだりに放出することを防止するとともに、既存のハロンを有効に活用するため、消火設備に係る製造者等関係団体によりハロンバンク推進協議会が1993年7月19日に設立された。
 
[5]  1994年1月1日以降においてハロンの生産等が全廃されたことを踏まえ、ハロンバンク推進協議会を中心としてハロンの適正な管理、回収・再利用、リサイクルハロンの活用による必要量の供給が、関係者の自主的な取組のもとに行われている。
 
(2) 戦略の基本方針
 
 我が国においては、消防法により、ハロン消火設備・機器の適正な設置・維持が確保され、不用意な放出防止、排出抑制に効果をあげている。
 さらに、関係者の自主的な取組により、ハロンバンク推進協議会を中心として、ハロンの管理、回収・再利用、無害化等について的確かつ円滑な運用・取組が行われており、オゾン層保護の観点から十分かつ最適なハロン排出抑制が図られていることから、現状をベースとしつつ、次に掲げる事項について重点的な取組を図ることとする。
 なお、本基本方針に基づく運用により、今後のハロンの需要は、クリティカルユース(不可欠用途)として、ハロン1301が年間120トン程度、ハロン1211、2402がそれぞれ年間1トン未満と予想している。
 
[1] ハロンデータベースの信頼性を引き続き確保していくとともに、適正な管理の推進を図る。
 
[2] 施工、維持管理、回収等に伴う不用意な放出を防止する。
 
[3] ハロン消火設備・機器の新設は、防火安全上必要な用途について認める。
 
[4] 既存のハロン消火設備・機器については、建物及び移動体のライフサイクルと整合を図りつつ、ハロンの補充を継続する。
 
[5] 既存のハロン消火設備・機器が廃止・撤去される場合には、ハロンを的確に回収する。
 
[6] 防火安全及びハロン排出抑制の観点から、再利用することが必要な回収ハロンは、品質を確認のうえ、供給用として管理する。
 
[7] 不要、余剰となったハロンは、無害化(破壊)のうえ廃棄する。この場合において、技術的・制度的観点から、有効な回収・破壊技術の確立について整備を図る。
 
[8] 防火安全を確保しつつ、環境保護、実用性の観点から、ハロン代替に向けた有効な取組を促進する。
 
3. 今後の対応
 
 今回取りまとめた「国家ハロンマネジメント戦略」に基づき、関係省庁、関係業界の協力のもと、適正なハロンの管理を推進していくとともに、定期的に戦略のフォローアップを行っていく。

添付資料

連絡先
環境庁大気保全局企画課広域大気管理室
室    長  :笠井  俊彦(内6511)
 室長補佐  :太田志津子(内6562)
 担    当  :袖野  玲子(内6562)